園長コラム


幼児期の日々の実践で賢い子に育つ秘訣は何?
母子での取り組みで貴方も“子育て名人”に変身

第5回漢字かるた大会いずみ杯の申込が締め切られた。園児の部でも学年種目以外の申込も多数で例年通りに盛況とのこと。日本漢字教育振興協會主催の全国大会もコロナ禍以降行われなくなってしまったが、いずみグループの熱心さは中断することなく健在で、最近は保育園からも入賞者が出るようになって喜ばしい。折に触れ「親子でのかるた遊びは貴重」と申し上げてきた経緯で、親の熱心さが伝わってきて嬉しい。大会も通算で33年になるが、ここまでかるたが根付くまでには様々な苦労があった。30年前、一保護者から「負ける子が可哀そう」の声が上がり、正直戸惑った。確かにかるたは勝ち負けがはっきりと出るので、我が子を心配する親の気持ちも、正直なところよく分かる。それでも、勝ち負けで泣き笑いを重ねて成長する我が子の姿が愛しく思えた経験から、かるたの効果を信じて訴え続けてきた。子供にとっては知識の獲得と同時に、様々な心の成長が期待できる。また、視点を母子に移してみれば、母子でのかるた遊びは親が上手な子育ての知恵を獲得できるチャンスである。「子育て」は「子供の脳育て」と言えるが、幼児期の体験を通して我が子の脳がどう育つのかを心得て事に当たれば、かるた一つでも“子育て名人”に変身できる。では、その秘訣とはいうと極めて単純で、母子で熱をもって取り組むこと、そして子供の変化に気づき、喜び、口にして褒める事である。これは他の取り組みにも使える基本原則であり、将来にわたって能力の後伸びが期待できる働きかけになる。今回は、誰でも実行できる幼少期に母子で体験すべき内容や方法を、教育コンサルタント・受験プロの松永暢史氏(当時キャリア30年位)の著書『頭のいい子を育てる母親は、ここが違う!』から紹介する。
受験のプロが、先ず進めるのは①「読書」である。子供は読書によって「主体的に、自ら進んで、学問をする姿勢を身に付けていくから」で、特に古典的名作をルビ付きでも、ダイジェスト版でも充分OKとして薦める。世界文学全集の名作集の如きは、後世の作家の文章のスタイル・文体・表現法に少なからず影響を及ぼしているので、言語理解能力は勿論、自然と表現力の礎を築くことになるという。また、日本昔話も薦める。日本人には昔の日本のイメージが共通して宿っているので、それを豊かにするためにも大切と説く。俳句や和歌はそれ以上に重要で、百人一首の音読が国語力の向上につながると薦める。
次に、②「字をきれいに書く」である。しかも「速く」である。速くて丁寧に字を書ける能力は意外にも大切な能力と説く。学校では暗算より筆算に重きを置く傾向があるので、計算が正解でも字が雑で書くのが遅いと「計算力がない」とみなされる面があり、「算数は苦手」と思い込むような恐れにもつながるという。先ずはきちんと丁寧に書く習慣付けから始まり、ある程度初期から口うるさくは必要。きれいに書いた時の褒める習慣は特に大切で、小さい頃から「きちんと書くのが大切」との感覚が入ってしまえば、その習慣が出来上がり、その上に速く書くことが片付けられるという。先ずはきちんと書くのがベースと説く。鉛筆も色々試して、子供にとって一番持ちやすい、書きやすいのを選んでと説く。更に、食事の際の箸の使い方にも鉛筆の扱い方に関連して大切とふれている。
③は計算力(暗算力)。算数の伸び悩みの共通点は小学校3、4年時点での繰り上がり・繰り下がりが暗算で出来ないことにあると指摘し、発想次第で暗算力は訓練すると誰でも向上すると説く。
松永氏の著書には脳育ちからの記述は少ないが、長年の家庭教師等の指導経験が言わせているのであろう。私も同感するばかりで、特に上記の3点は卒園児向けの育み教室や脳育ちの視点からも「賢い子に育つ」真理と確信する。いずれも子供にとって努力の成果がスコアや形で見えやすい点もかるたと共通する。そのうえで、これらを上手く使いこなすには母親の寄り添いが最初は肝心である。母親が潜在意識の中に持つ我が子への愛情は絶対で、その正しい使い方は何が大切かを分かれば、後は実行あるのみ。具体的な目標を利用して母子で挑戦して下さい。当面は大会を目標にして母子でのかるた遊び、日々の繰り返しの練習を楽しんで実践しましょう。重ねる効果で自然と子育て名人に変身し、かるたがきっかけで母子の一生の思い出・絆も宿ると確信する。クラス内や園内かるた大会の中間目標の機会もあるので、有効に活用して下さい。
幼児は繰り返しが得意で、頑張る点を煽てて繰り返せば心に火が付く。8月に副園長との共著で『国語に強くなる音読ドリル』を致知出版社から発刊したが、ルビ付きで母子でも楽しく様々な日本語が口にできるよう工夫を凝らしている。本書の使い方も上記の“秘訣”と同様です。母子での音読体験を通して、一生を支える言葉に出会って欲しいと切望する。日々の実践で“子育て名人”への第一歩を踏み出しましょう。

 

2024年12月号

園長コラム


幼児期の日々の実践で
賢い子に育つ秘訣は何?
母子での取り組みで貴方も
“子育て名人”に変身

第5回漢字かるた大会いずみ杯の申込が締め切られた。園児の部でも学年種目以外の申込も多数で例年通りに盛況とのこと。日本漢字教育振興協會主催の全国大会もコロナ禍以降行われなくなってしまったが、いずみグループの熱心さは中断することなく健在で、最近は保育園からも入賞者が出るようになって喜ばしい。折に触れ「親子でのかるた遊びは貴重」と申し上げてきた経緯で、親の熱心さが伝わってきて嬉しい。大会も通算で33年になるが、ここまでかるたが根付くまでには様々な苦労があった。30年前、一保護者から「負ける子が可哀そう」の声が上がり、正直戸惑った。確かにかるたは勝ち負けがはっきりと出るので、我が子を心配する親の気持ちも、正直なところよく分かる。それでも、勝ち負けで泣き笑いを重ねて成長する我が子の姿が愛しく思えた経験から、かるたの効果を信じて訴え続けてきた。子供にとっては知識の獲得と同時に、様々な心の成長が期待できる。また、視点を母子に移してみれば、母子でのかるた遊びは親が上手な子育ての知恵を獲得できるチャンスである。「子育て」は「子供の脳育て」と言えるが、幼児期の体験を通して我が子の脳がどう育つのかを心得て事に当たれば、かるた一つでも“子育て名人”に変身できる。では、その秘訣とはいうと極めて単純で、母子で熱をもって取り組むこと、そして子供の変化に気づき、喜び、口にして褒める事である。これは他の取り組みにも使える基本原則であり、将来にわたって能力の後伸びが期待できる働きかけになる。今回は、誰でも実行できる幼少期に母子で体験すべき内容や方法を、教育コンサルタント・受験プロの松永暢史氏(当時キャリア30年位)の著書『頭のいい子を育てる母親は、ここが違う!』から紹介する。
受験のプロが、先ず進めるのは①「読書」である。子供は読書によって「主体的に、自ら進んで、学問をする姿勢を身に付けていくから」で、特に古典的名作をルビ付きでも、ダイジェスト版でも充分OKとして薦める。世界文学全集の名作集の如きは、後世の作家の文章のスタイル・文体・表現法に少なからず影響を及ぼしているので、言語理解能力は勿論、自然と表現力の礎を築くことになるという。また、日本昔話も薦める。日本人には昔の日本のイメージが共通して宿っているので、それを豊かにするためにも大切と説く。俳句や和歌はそれ以上に重要で、百人一首の音読が国語力の向上につながると薦める。
次に、②「字をきれいに書く」である。しかも「速く」である。速くて丁寧に字を書ける能力は意外にも大切な能力と説く。学校では暗算より筆算に重きを置く傾向があるので、計算が正解でも字が雑で書くのが遅いと「計算力がない」とみなされる面があり、「算数は苦手」と思い込むような恐れにもつながるという。先ずはきちんと丁寧に書く習慣付けから始まり、ある程度初期から口うるさくは必要。きれいに書いた時の褒める習慣は特に大切で、小さい頃から「きちんと書くのが大切」との感覚が入ってしまえば、その習慣が出来上がり、その上に速く書くことが片付けられるという。先ずはきちんと書くのがベースと説く。鉛筆も色々試して、子供にとって一番持ちやすい、書きやすいのを選んでと説く。更に、食事の際の箸の使い方にも鉛筆の扱い方に関連して大切とふれている。
③は計算力(暗算力)。算数の伸び悩みの共通点は小学校3、4年時点での繰り上がり・繰り下がりが暗算で出来ないことにあると指摘し、発想次第で暗算力は訓練すると誰でも向上すると説く。
松永氏の著書には脳育ちからの記述は少ないが、長年の家庭教師等の指導経験が言わせているのであろう。私も同感するばかりで、特に上記の3点は卒園児向けの育み教室や脳育ちの視点からも「賢い子に育つ」真理と確信する。いずれも子供にとって努力の成果がスコアや形で見えやすい点もかるたと共通する。そのうえで、これらを上手く使いこなすには母親の寄り添いが最初は肝心である。母親が潜在意識の中に持つ我が子への愛情は絶対で、その正しい使い方は何が大切かを分かれば、後は実行あるのみ。具体的な目標を利用して母子で挑戦して下さい。当面は大会を目標にして母子でのかるた遊び、日々の繰り返しの練習を楽しんで実践しましょう。重ねる効果で自然と子育て名人に変身し、かるたがきっかけで母子の一生の思い出・絆も宿ると確信する。クラス内や園内かるた大会の中間目標の機会もあるので、有効に活用して下さい。
幼児は繰り返しが得意で、頑張る点を煽てて繰り返せば心に火が付く。8月に副園長との共著で『国語に強くなる音読ドリル』を致知出版社から発刊したが、ルビ付きで母子でも楽しく様々な日本語が口にできるよう工夫を凝らしている。本書の使い方も上記の“秘訣”と同様です。母子での音読体験を通して、一生を支える言葉に出会って欲しいと切望する。日々の実践で“子育て名人”への第一歩を踏み出しましょう。

 

2024年12月号

TOP